芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年2月3日金曜日

外国人教員特別留学生さんの集中講義ー日本文化の「和菓子」と「寄せ書き」

こんにちは。昨日は、諸事情から更新できませんでした。もうしわけないです。美術教育の授業内容の説明は長く続きそうですので、来週月曜から始めたいと思います。

先程、教育研究科に短期留学された外国人教員特別留学生さん達の集中講義を終えました。今日は、この講義について触れたいと思います。外国人教員特別留学とは、諸外国から来られた学校・教育関係の仕事に就かれた方々が、筑波大学大学院教育研究科に短期に留学される制度です。入学後は、各専門コースに別れ、日本の教育制度や様子など専門的な講義を受けて学びつつ、各自の研究論文を完成します。また、共通して日本語を学習する講義や、日本文化の理解を深める授業もあります。今日の集中講義は、その一貫とみてよいと思います。

 私(和田)は、毎年、この留学生さんの集中講義は何をしようか悩むのですが、私の職業柄、美術に関係するものを選ぶようにしています。昨年は、日本の“掛け軸”について授業をすることにしました。私の祖父が水墨画家でしたので、その絵を実際に持っていき、子どもの時の思い出を含め、詳しい背景を話しつつ授業を行いました。英語の紹介映像を見ながら、掛け軸の保存の仕方、巻き方、季節や行事に応じて出し入れするなど、西洋の絵画とは全く異なる性質について、みんなで学びました。

 今年は、日本の美に関係するものとして、“和菓子”と、卒業シーズンには欠かせない“寄せ書き”をテーマにして授業を行いました。
 全員で八人(一人欠席)参加しました。韓国・中国・インドネシア・タイ・ガボン・メキシコと様々な国から来られ、学校の先生だけではなく、政府の教育機関に所属されている方もおります。今回は、3.11以降、日本の観光客の減少や、留学生さんも激減していることへ配慮し、みなさんが母国へ戻った後、少しでも日本文化の良さを伝えて頂けるような授業をすることにしました。

○日本の“和菓子”の色と形について。
 日本の和菓子は、味だけではなくその見た目の美しさ、特に形(form)と色(color)も重要になってきます。特に、四季を象徴した形や色が求められてきます。例えば、春→桜→花弁を広げた形・ピンクの色彩などです。英語の紹介映像を見て頂いた後、実際の和菓子を基に、四季の変化がどう形と色に現われているのか説明させて頂きました。その後、食して頂きました。お菓子というと、カラフルでボリュームがあるなど娯楽的な要素が多いものですが、それに比べると和菓子は厳格でやや質素な感じがするせいか、反応に困られているようでした。味が少し甘すぎるかな、と心配していたのですが、味に関してはみなさん、おいしく頂けているようでした。


○日本の“寄せ書き”の習慣について。
 日本人が当たり前に思っていて、外国人が全く知らないものとして、別れ際に色紙にメッセージを書く“寄せ書き”があります。特に、学校では、先生や卒業時の友達との別れの際、書くことが多いです。一人一人の違いを出すように、カラフルな色ペンを用いることも独特の習慣です。日本の学校教育の文化を知ってもらうことと、丁度、留学生のみなさんが来月卒業しそれぞれの母国に戻られることになりますので、外国人留学生のみなさんに互いに書いてもらうことにしました。私が中学校の美術教師だった時、生徒達から頂いたものを見てもらい、寄せ書きの説明をしました。みなさん、寄せ書きは今まで知らなかったようですが、うまく互いの色紙を交換し完成することができました。休んでいる方の色紙も今日みんなでメッセージを描き完成させました。描いた後、色紙を持ち、みんなで写真を撮る、などいい思い出になりました。

 この授業を通じて、新しい発見があったのですが、日本人はあまり深く接してない人であっても、形式的にお別れのメッセージを書く習慣があるということです。これが前提にならないと、“全ての人にもれなくメッセージを書いてもらう”という、“寄せ書き”の習慣は成り立たないものなんだな、と気づきました。別れを惜しむだけでしたら、仲の良い人同士で交換すればよいだけでしょうから。。。。

 来週から再び、今週の水曜日の続きから始めたいと思いますので、よろしくお願いします。