芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年9月29日土曜日

芸術鑑賞論(9/18火曜日・3回目の授業)

 芸術科教育コースでは、授業や研究指導以外に、様々な授業外活動を行い、社会貢献や院生さん達の教育・指導につとめております。昨年から始まりましたが、9月、筑波大学教育研究科ではつくば市教育委員会と合同で、市内の一部の小学生の能力について、調査を行っております。毎年、同じ小学生を対象にどのような能力の変化が起こるのかを、追跡調査しております。各分野の能力を教育研究科各コースの教官・院生の方達が、実際に各小学校に行き、出前授業の形式を取り、調査を行います。授業形式ですので、単なる調査ではなく、やはり、生徒さん達に対し、教育的な要素も加わってきます。図画工作の能力については、石崎和宏先生・私(和田)・芸術科教育コースの院生の方達と協力して、授業の形式を取り、小学生の生徒さん達の調査を行っております。院生の方には、何度か小学生の授業を実際に行って頂きました。大学院の授業もあり、大変、慌ただしい毎日になりましたが、実際に教育経験を積むことで勉強になったのではないかと思います。  さて、こうした中、9月18日(火曜日)には芸術鑑賞論の授業がありました。2学期の目標は、各院生さん達が、美術批評の方法論を用い、鑑賞のワークショップを提案・実践することで、各自の課題点を考察するというものです。今回は、米国のフェルドマンといわれる方の美術批評教育についての方法論を院生さん達と検討しました。この批評方法は、4段階を経て作品を鑑賞するもので、先ず、作品の見た物を客観的に記述する、次に作品内部の様子を分析する、そして、記述・分析の結果を踏まえ解釈する、最後に作品の価値について判断する、を経るというものです。こうして、鑑賞者の批評能力を育成してゆくというものです。従来のこうした方法を応用した活動は、鑑賞者が作品鑑賞を行う際、鑑賞用のワークシートにそれぞれの4段階に応じたチエック項目を設けることで、鑑賞者が書き込んでゆくという形式をとってきました。また、それを発展したものとして、カードゲームにより、批評能力を育てるというものもありました。今回は、美術批評の新しい可能性を模索するという意味から、「ワークショップ」とし「ワーク」という活動的な意味付けをする言葉を設けることで、新しい批評活動を院生さん達に提案して頂くように期待しております。(文責・和田学)

芸術科教育特講・2回目 9/12(水)

 暑い日も終わり、過ごしやすい日々になりました。ニュースやネットなどでは、連日、慌ただしい報道が続けられております。こうした激動の日本にいる中で、今後の教育研究はどうあるべきなのか、とても悩む所です。  さて、9月12日水曜日には、芸術科教育特講がありました。今回は、松下佳代さん編『新しい能力は教育を変えるかー学力・リテラシー・コンピテンシー』(ミネルバ書房)に収録された松下さんの「〈新しい能力〉概念と教育ーその背景と系譜」を基に、芸術的な能力とは何か議論されました。今回は石崎和宏先生が、この資料とそれに関する問題について提起されました。今回、取り上げた能力(ability)は、コンピテンシー(competencies)と呼ばれるもので、人間が様々な状況における多様な要求に対して、対応できる能力を意味するものです。こうしたコンピテンシーの構造の要素として、レジュメには、知識•認知的スキル・実践的スキル・態度・感情・価値観と倫理・動機付けが上げられております。更に、これらの構造は、今後、期待される人間の主要な活動、「道具を相互作用的に用いる」「異質な集団と交流する」「自律的に行動する」という各カテゴリーの中で、どのように位置付けられるか考察されております。 芸術に限らず、様々なジャンルにおけるコンピテンシー(適応・応用可能な能力)とな何か、を考察することは、こうした様々な状況における人間の活動に応じ、それぞれの構造(知識など)がどのように位置付けられるかのか考えてゆくものであると考えられます。そして、芸術による「コンピテンス」の定義とは、「アートの活動を通してイメージと言葉を相互作用的につなげ、人や社会、文化、価値観など、さまざまなことについて柔軟に考えを組み立てる力」とされます。たとえば、アートの統合的な機能に着目した場合、イメージや言語、右脳機能と左脳機能、美的教育論における理性と感性、などの二項を統合することが考えられます。これが、他の分野にはない特色と考えられます。このように芸術的なコンピテンシーの構造として、「統合力」「創造力」「柔軟性」「感性」があげられております。(文責・和田学)

2012年9月22日土曜日

芸術科教育研究(二回目)がありました。

更新が遅くなってしまいましたが、9月11日(火)には芸術科教育研究(二回目)の授業がありました。 芸術支援の修士課程の院生の方に、研究内容を発表して頂きました。アートプロジェクトにおけるコーデイネーターの役割について研究されているものです。現在、全国各地においてアートプロジェクトが積極的に開催されておりますが、プロジェクトに対しての正式な定義付けや約束事などが関係者らの共同認識にないため、関係者同士に“考え方のずれ”が生じるケースがあるそうです。この“ずれ”を解消するために、コーデイネーターの必要性が出てきています。既に、実際に活躍されている方もおられるようですが、まだ、本格的なコーデイネーターの位置付けには至っていないようです。この研究では、その位置付けについて研究されています。

2012年9月16日日曜日

芸術鑑賞論A(2学期・2回目)

9月11日(火)には、芸術鑑賞論A(二学期・二回目)の授業がありました。今回は、フェルドマン(Edmunnd Feldman)の美術批評方法についての検討、及び、受講生のみなさんが、ワークショップを実践されるうえでの、作品を選んできて頂きました。ある程度、素材研究をして頂いております。美術批評教育は、1960年代にアメリカで生まれた方法論を重視した鑑賞教育です。作品を客観的に見る「記述」や、作品の中にあるもの同士を比較検討する「分析」、作品の意味を考える「解釈」、作品の価値を決定する「評価(判断)」の4段階を経る鑑賞方法です。  今回の授業では、これらの4段階を、鑑賞者の価値判断を育てるために必要な能力と位置付け、相応しい教材研究と具体的な方法と活動を検討し、各受講生のみなさんにワークショップを実践して頂く予定です。

芸術科教育特講(2学期 1回目)

9月5日(水)から芸術科教育特講(2学期 1回目)が始まりました。今学期の前半部は、芸術教育における学習能力を中心テーマとして、研究論文を講読し、討論することになりました。来週から始まります。

2012年9月10日月曜日

芸術科教育研究(2学期)の授業(一回目)

9月4日(火)から、芸術科教育研究の授業が再開しました。第一回目は、現在の院生の方々の研究の進行状況や近況などの報告がされました。来週から、具体的な研究発表が行われます。

芸術鑑賞論Aの2学期(一回目)の授業が始まりました。

9月4日(火)から再び、芸術鑑賞論Aの授業が再開しました。2学期は、美術批評教育について考え、それを基にワークショップを計画•実践することになりました。最初の授業では、美術批評と鑑賞の違い、また、美術批評やワークショップを受講生の方々がどう考えているかについて、デイスカッションを行いました。美術批評教育は、1960年代のアメリカで生まれ、1980年代にピークを迎え、その後、急速に消えて行きました。美術批評という意味からは、日本にも戦前から存在しており、そのことについてもデイスカッションの中で触れられました。来週は、美術批評教育で著名なフェルドマン(Edmund Feldman)の美術批評方法についての理解を進める他、ワークショップの実践の中で、各院生の方々が用いる作品を持ち寄り、最初のデイスカッションを行う予定です。

2012年9月7日金曜日

奥村高明先生の集中講義(9月2日)

 先日、9月2日(日)には、教育研究科の集中講義「教育計画論」がありました。  芸術科教育コースの担当授業(1時間30分)では、聖徳大学教授(元文部省教科調査官)の奥村高明先生に図画工作の授業計画についての講義をして頂きました。奥村先生は、著書「子供の絵の見方」などで大変著名な先生です。元文部省という経歴や、有名人にも関わらず、誰からの問いかけにも気さくに応じて頂き、講義も常にみなさんの関心の声や笑い声が絶えませんでした。  奥村先生の講義には、たくさんの院生や現場の先生方が聴講に来られましたが、「はっ」とさせられるような言葉や、豊富な映像資料などで分かりやすく解説して頂きました。受講生のみなさんからは、大変な反響を受けました。例えば、生徒の図画工作の評価について、作品ではなく、生徒の視線の方向を見るべき必要性を説き、その具体的な方法を豊富な資料を通じ、分かりやすく解説して下さいました。  講義後も、奥村先生にご相談される現場の学校の先生方が後を断ちませんでんでした。その後、芸術科教育コースでは、研究室に戻り、奥村先生への質問をさせて頂くなど、勉強会を開き、とても有意義な時間を過ごすことができました。(文責・和田学)