芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年9月29日土曜日

芸術科教育特講・2回目 9/12(水)

 暑い日も終わり、過ごしやすい日々になりました。ニュースやネットなどでは、連日、慌ただしい報道が続けられております。こうした激動の日本にいる中で、今後の教育研究はどうあるべきなのか、とても悩む所です。  さて、9月12日水曜日には、芸術科教育特講がありました。今回は、松下佳代さん編『新しい能力は教育を変えるかー学力・リテラシー・コンピテンシー』(ミネルバ書房)に収録された松下さんの「〈新しい能力〉概念と教育ーその背景と系譜」を基に、芸術的な能力とは何か議論されました。今回は石崎和宏先生が、この資料とそれに関する問題について提起されました。今回、取り上げた能力(ability)は、コンピテンシー(competencies)と呼ばれるもので、人間が様々な状況における多様な要求に対して、対応できる能力を意味するものです。こうしたコンピテンシーの構造の要素として、レジュメには、知識•認知的スキル・実践的スキル・態度・感情・価値観と倫理・動機付けが上げられております。更に、これらの構造は、今後、期待される人間の主要な活動、「道具を相互作用的に用いる」「異質な集団と交流する」「自律的に行動する」という各カテゴリーの中で、どのように位置付けられるか考察されております。 芸術に限らず、様々なジャンルにおけるコンピテンシー(適応・応用可能な能力)とな何か、を考察することは、こうした様々な状況における人間の活動に応じ、それぞれの構造(知識など)がどのように位置付けられるかのか考えてゆくものであると考えられます。そして、芸術による「コンピテンス」の定義とは、「アートの活動を通してイメージと言葉を相互作用的につなげ、人や社会、文化、価値観など、さまざまなことについて柔軟に考えを組み立てる力」とされます。たとえば、アートの統合的な機能に着目した場合、イメージや言語、右脳機能と左脳機能、美的教育論における理性と感性、などの二項を統合することが考えられます。これが、他の分野にはない特色と考えられます。このように芸術的なコンピテンシーの構造として、「統合力」「創造力」「柔軟性」「感性」があげられております。(文責・和田学)