芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年10月21日日曜日

修士論文の中間審査会(10月4日 木)

 芸術科教育コース内の院生2年生の方で、修了を予定されているお二人の方に、修士論文の中間発表をして頂きました。「開発途上国における美術教育開発に関する質的研究—モルデイブ共和国での実践を事例としてー」と「知的障害児のコミュニケーション行動を促す美術科授業に関する研究—行動分析シートによる分析と考察」です。発展途上国をテーマにした研究は、前回の芸術科教育研究の授業のブログに公開致しましたので、今回は知的障害の方のコミュニケーションに関する研究から、以下、レジュメの一部を抜粋したいと思います。 研究題目「知的障害児のコミュニケーション行動を促す美術科授業に関する研究—行動分析シートによる分析と考察」 研究目的 本研究の第一の目的は、知覚障害児を対象とした美術科授業でコミュニケーション行動を促すための美術科授業を開発し、どのようにコミュニケーション行動が促されたかを明らかにすることである。授業でのコミュニケーション行動を判断するために、柳谷(2004)を参考にコミュニケーション行動分析シートを開発する。本研究の第二の目的は、アートワークショップに見られるコミュニケーションを促進する要因を検討することである。本研究で実施する授業では、その要因を取り入れる。つまり、授業実践は知的障害児の生徒が他者と主体的に関わり合い、学び合う具体的な仮説をコミュニケーションという観点により検証するものである。 研究背景/一つは特別支援学校卒業後のコミュニケーションによるトラブルである。コミュニケーションによるトラブルで、生活に支障をもたらすことは少なくない。そのため、学校に在籍している間に、多くの他者と関わり、自分なりの良いコミュニケーション手段を身につけていくことが必要である。  もう一つは知的障害児における美術科授業の役割である。知的障害児における美術科授業の先行研究は、他教科他領域に比べて少ない。しかしながら、特別支援学校在籍者数は増加傾向にあり、教科としても検討していく必要がある。また、特別支援学校の授業は、自立活動と密接な関連を図って行われなければならない、21年改訂のその内容の意思伝達がコミュニケーションに改められている。中学部では24年度から実施となり、今後高まる研究である。

芸術科教育特講(10月3日水 第4回目)

今回の授業では、ふじえみつる先生「美術教育のための「能力」観の研究」『美術教育学』(第28号2007年)を対象にして、デイスカッションが行われました。この論考は、新しい能力観として注目されている、competencyを基に、美術活動における「感性」の働きを再考したものです。今回のゼミでは、実際に学力検査として世界各国で行われているPISA調査の日本版をやってみることで、改めて、これからの美術教育に必要な能力観について話し合いが行われました。

芸術科教育研究(10月2日 火 第5回目)

今回は、修了予定の芸術支援コースの院生の方に、「『大森アートマップ』制作者の地域芸術文化に対する意識変化」を発表して頂きました。東京の大森町に点在するアートスポットのマップを通して、改めて、地域の芸術資源について考え直そうという意図をもった研究です。アートマップは、大森町住民の方々の意見と通して作成され、観光に来られた外部の方に使われます。  この院生の方は、実際に大森町のアートプロジェクトに参加され、マップ作りから、アンケートまでを行われた他、観光客の方々と大森町のアートスポットを散策する、町歩きプロジェクトにも参加されました。

芸術鑑賞論B(10月2日火 第五回目)

 10月2日の芸術鑑賞論は、院生の方々が各自、授業内において、鑑賞ワークショップのミニ実践を行うための、事前の話し合いが行われました。それぞれが選んできた鑑賞のテーマや作品を対象に、各自考えた実践方法を報告しあい、お互いに分からないことについて、アドバイスを受けるという形式をとりました。来週の授業は、月曜日課のためお休みですが、再来週からお二人ずつ鑑賞のミニ実践を授業内で行います。とても楽しみです。

芸術科教育研究(10月9日)は月曜日課のためお休みです。

芸術科教育研究(10月9日)は月曜日課のためお休みです。

芸術鑑賞論A(10月9日)は月曜日課のためお休みです。

芸術鑑賞論A(10月9日)は月曜日課のためお休みです。

芸術科教育研究(9月25日 第4回目)

今回の芸術科教育研究では、院生2年生の方で、修了のための中間評価を控えた方に発表して頂きました。以下、レジュメを基に、要旨をご紹介します。 題目「開発途上国における美術教育開発に関する質的研究—モルデイブ共和国での実践を事例としてー」 背景/途上国における教育の整備・発展をめざす目的で行われる教育開発研究において、美術教育の分野が積極的に取り扱われることはこれまでなかった。そのため、途上国の美術教育について、「模写中心」「教材がない」などある程度の推測は出来ても、その実情はあまりよく知られておらず、どのように支援すればよいかということに関しても、全く触れられてこなかった。そもそも、教育開発研究自体、途上国の実態やその背景にまで探るような事例研究は一般的ではなく、その本当の姿が十分に明らかにされているとはいえない。しかし、フイールドに長く身を置き、その土地の社会や文化をよく知る者のミクロな視点は、各々の文化の影響を直接受ける「美術」「美術教育」を考察する上では、特に重要であると捉えている。 研究の目的/1.開発途上国における美術教育開発の実態を、各種文献・資料より明らかにし、その背景要因について考察すること 2.モルデイブにおける教育実践の質的分析を通して、途上国の美術教育改善およびその支援の可能性を考察すること 研究方法/1.先行研究、各種文献・資料からの考察 2,筆者の実践記録に基づく質的分析及び考察

2012年10月6日土曜日

9月26日(水)芸術科教育特講(3回目)について

9月26日(水)には、芸術科教育特講(3回目)の授業がありました。この授業では、図画工作•美術教育の学力観について、論考を基にして、議論を交わしています。今回の授業では、佐藤学さん「リテラシーの概念とその再定義」という論考を基に話し合われました。リテラシーとは、一般的に、文字情報などを読みとる識字能力などのことを指します。佐藤さんは、この中で、リテラシーという言葉が、本来、19世紀以降の英語圏においてどのように位置付けられてきたのか、また、現代社会において新しく必要とされる能力とは何かを論じておられます。従来の学力は読み取る能力のみが重視されてきましたが、現在は、様々な状況に応じて応用できる能力が重視されております。それは、自ら問題意識を持って、自分の知識•技能を活用できる能力、コンピテンスと呼ばれております。  確かに、学校現場の授業においても、現在、生徒が社会や学外において技能が活用できるような授業計画が必要とされております。ですが、図画工作•美術教育の場合、そもそも、一般的な日常生活レベルの中で、美術の能力がどう役に立つのかも明らかにする必要があります。例えば、絵を描かせることは、情操を養い、色彩に対して敏感になることが目的とされ、決して画家になるためではない、とされます。専門家のための教育ではなく、義務教育ですから当然かもしれませんが。。。更に、ここで学習した内容が社会でどのような役に立つのか、その応用力を授業でどう教えるのか、また、それをどう評価するのか、という大変難しい問題があります。この授業では、美術の能力について様々なことが議論されました。

2012年10月2日火曜日

芸術科教育研究・3回目9月18日(火)の授業について

 9月18日(火)には、芸術科教育研究の3回目のゼミがありました。  お二人の方に、研究内容を発表して頂きました。以下、レジュメから研究の目的と方法について抜粋したいと思います。 □仮題「ファッション展における教育普及活動について」 ●目的 ファッション分野の展覧会を明らかにし、教育普及活動の可能性を探る●方法/ファッション展の歴史、美術と同じように展示されるようになった経緯を明確にする。過去行われたファッション展を把握し、事例を選出。教育普及活動として行われたものを分類。事例研究、教育普及担当学芸員(キュレーター)にインタビュー調査を行う。 □仮題「アートを通した幼児教育の可能性」 ● 目的「日本の幼児教育における『子どもの表現』の発展をはかる。アートという視点を通して、社会的にあまりその奥行さが認識されていない『幼児教育』の可能性を示す。●方法/先行研究、参考文献資料を収集し、分析する。実際に現地でのセミナーを園見学された方にインタビューし、その利点・課題などを明らかにする。日本でもレッジョエミリア・アプローチ(注)を参考にして取り組んでいる園が多数存在しているので、その実態・状況を調査し、分析する。資料や課題を検討した上で、私自身も現地に赴き実際の現場を見学し、セミナーに参加する。現地で得たことを実際に日本でどのように応用できるのか、日本での独自性や可能性を探る。 (注)レッジョエミリア・アプローチ 戦後以降、イタリアで行われてきた幼児教育。教育的意義として、アートを用いた活動を重視している。

芸術鑑賞論A(9月25日(火)・4回目)

 9月25日(火)には、芸術鑑賞論の4回目の授業がありました。今日は、受講生の方々のワークショップを実演する順番を決定し、更にワークショップの一例として私(和田)が、漫画を教材として用いた実践例を行いました。受講生の皆さん達には、美術批評教育の方法論を参考にしつつも、従来のワークシートを用いた鑑賞スタイルから発展したワークショップを提案・実践して頂くことが期待されております。

9月19日(水)の芸術科教育特講(水)は休講です。

9月19日(水)の授業は、大学自体が月曜日課ため休講です。