芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2013年1月17日木曜日

芸術科教育特講(水曜)の授業について

1月15日(水)には、芸術科教育特講のゼミがありました。3学期は、院生の方が自身で選んだ美術教育研究に関する論文を持ち寄り、事前にゼミ参加者の方々全員に読んでもらっておいて、それをテーマに問題意識を持ちデイスカッションするという内容となっております。昨日は、高浦浩「児童画のつまずきの基本構造:観察表現におけるつまずきの傾向と発生原因」『美術科教育学会』第9号、1987年,pp.123-133.を基にデスカッションを行いました。この研究は、小学生の手の描画活動の中で、どのような“つまづき”がみられるのかを調査・分析したものです。ここでいう“つまづき”の定義は、筆者によると、「1.教師の眼から見て、当然到達可能と思われる平均的な表現水準から著しく逸脱しているとき」「2.児童自身、意図した表現が思いどおりにできないとき」「3.表現活動が停滞したとき」。の3点があげられております(p.124)。これに沿い、表現活動に関する“つまづき”の定義としては、「1.表現のつまづきは関係把握の誤りやあいまいさによっておきる」「2.表現のつまづきは表現の見通しの不確かさによっておきる」「3.表現のつまづきには下地となる状況がある」の3点となります。(p.125)。例えば、1.に沿い、描画活動を考えてみると、描くモチーフの「大小の釣り合い」「部分と全体のつながり」「前後の位置」「空間構成上の種々の造形的要素」が基準となります(p.125)。これらの基準を基に、各学年の生徒の描いた手の描画が調査・分析されました。ゼミでは、指導者側の教師が期待する観点が中心となり描画が評価されている点、生徒が描画を描き直した回数や訂正箇所を分析の対象としている点、などをデイスカッションしました。

2013年1月14日月曜日

今年も芸術科教育コースをどうぞよろしくお願いいたします。

 今年も芸術科教育コース(筑波大学大学院教育研究科)をどうぞよろしくお願いいたします。先週火曜(1月8日)から今年の本コースの授業が開始しました。3学期の芸術鑑賞論Aの授業では、道徳的な葛藤(モラル・ジレンマ)をテーマにした鑑賞教育、美的判断ジレンマを中心に置いた鑑賞方法の考察について行っております。例えば、美術館の所蔵作品が偽物だと分かった時、あなたが館長ならどのような判断と行動をしますか、など、広く芸術に関連するエピソードを知ったうえで、葛藤(ジレンマ)が生じるような問いをたて、鑑賞者がそれに答えるものを指します。この授業では、受講生の方が自身でエピソードを持ち寄り、問いをたて、ミニ実践を行って頂きます。これまで3回の授業を通じ、先生が実際に道徳的なジレンマを受けるような課題例をとりあげ、受講生の方にその有効性を検討して頂きました。今回の4回目の授業では、受講生の方々が取り上げて来た道徳的なジレンマに関するエピソードと問いの有効性をみなさんで検討して頂きました。今週の授業の中で、もう一度、検討した後、来週から受講生の方々のミニ実践がスタートします(毎回の授業お二人づつの発表を予定)。