芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年5月31日木曜日

芸術科教育特講(7回目)の授業がありました。

昨日、木曜日は芸術科教育特講の授業がありました。今回は、『はじめての質的研究法—教育・学習編』の「第12章 パフォーマンス評価による学びの可視化」(松下佳代)を講読し、デイスカッションをしました。  パフォーマンス評価とは、生徒が問題を答える際など、解答へ至るプロセスを明確にし、多くの視点から考察することで評価するものです。問題を作成する際、最終的な答えだけでなく、なぜ、そういう答えになったのかという理由や、どういう行程を辿り、そういう答えに行き着いたのかなどの経緯を記述することで、生徒の理解度を知る事ができます。「学びの可視化」とは、そうした答えの背景を明らかにすることで、教師と生徒の学んでいる内容のずれを示すことができると作者の方は位置付けています。  さて、この生徒の答案(*筆者はこれをパフォーマンスと名付ける)の分析は、ルーブリックとタイプという二つの観点により行われます。ルーブリックとは複数の視点から見た評価基準であり、各基準の達成度ごとにどのような数値が与えられるのか、評価の目安を具体的に文章で記しておくものです。タイプとは、問題制作者があらかじめ予想した答え方がどのように生徒の答えに用いられているのか分析するための基準です。「単純型(事前に予想した解法のどれか一種類を用いたもの)」「併記型(複数の解法が区別された上で併記されたもの)」「混在型(複数の解法が区別されないまま混在しているもの)」「新型(事前に予想した解法の中には存在しなかったもの)」「不適切型(適切な解法がとられていないためにつまずいているもの)」があります。これらの基準を用いて、生徒の解答へ至るプロセスを分析することになります。

2012年5月29日火曜日

芸術鑑賞論A(6回目)について

今日は、前回の授業の中で、アートリポーターというソフトを使い作り出した鑑賞文を基に、これを分析し、受講生のみなさん各自の鑑賞の特性を知る授業活動が行われました。石崎和宏先生が提案されました分析方法を用いております。以下、授業の中で配布されました資料を基に、鑑賞文の分析方法について簡単ではありますが、ご説明したいと思います。  大きく分けて、文章の分析と表への記入となります。分析の方法は、先ず、鑑賞文の一文に注目し、主部と述部に分けて考えます。主部を「作品要素」と見て、「主題(絵の中の題材など)」「表現性(作品に表れる感情的な意味など)」「造形要素(色・線・形などの基本的な絵を構成する要素)」「スタイル(広い意味での作家の独特な作風)」の四つの中から該当するものを選択します。述部を「鑑賞行為」とみて、「連想(個人的な思いつきや考え)」「観察(絵の外観について客観的に説明する行為)」「感想(直感的に感じ取る行為)」「分析(画面に現われているものを要素に分解し、関連性を明らかにする行為)」「解釈(作品に対する理解に基づいて作品の意味について述べる行為)」「判断(作品に対する個人の反応や価値観を示す行為)の6つの中から該当すると思われるものを選択します。必ずしも、一つの属性に分析しなければならないわけではなく、二つの属性を持った複合型の分類も可能です。例えば、「連想・観察」、「観察・分析」などです。  次に方眼状となりました図への記入にうつります。「作品要素」の4つを縦軸とし、「鑑賞行為」の6つを横軸とした方眼状の図がありますので、そこに主部(縦軸)の「作品要素」の分類名と、述部(横軸)の「鑑賞行為」の分類名が交差する升目に記しをつけます。例えば、縦軸が「表現性」で、横軸が「連想」ですと、その二つが交差する升目に記しを付けます。一文、一文、こうした分析方法を繰り返し、しだいに升目がうまってきますが、個人差があり、特に集中して埋まる升目があれば、その人の鑑賞の時に重視しているものとかんがえられます。逆にうまっていない升目や用いていない「鑑賞行為」「作品要素」がある場合、軽視していますので、鑑賞の際、気を付けた方がよい特性を表わしています。こうした分析は、自分自身の鑑賞行為を客観的に分析することで、今後の美術鑑賞の改善に関する手掛かりとして役立つことになります。(文責・和田学)

ソフトボール大会と新入生歓迎会がありました。

昨日、月曜日の午前中、教育研究科の院生さん達により、学内のグラウンドで、ソフトボール大会がありました。その日の夕方には、食堂にて新入生歓迎会がありました。芸術科教育コースの院生さん達は、外国人教員研修留学生さん達(*海外の教育関係の仕事につかれており、母国の国費により留学されてきた方達)と同じチームとなり、ソフトボール大会へ出られました。午後から雨天となったため、残りの試合の決着は、夕方の新入生歓迎会でのジャンケン大会にて決めることとなりました。新入生歓迎会では、たくさんのテーブルの上にオードブルが並び、歓談を楽しみながら行われました。教育研究科の各コースの院二年の方達が、新入生(院一年生)方のための催しものを行いました。ダンスを踊ったり、おもしろいVTRを作って流したりと、大変な大盛況でした。

芸術科教育特講(6回目)について

先週の水曜日となりますが、芸術科教育特講(6回目)の授業がありました。 この授業では、毎回、『はじめての質的研究法—教育・学習編』というアンソロジーを毎週、各章ごとに講読し、美術教育における質的研究法の有効性を、みなさんで検討する授業です。院生の方が毎回、担当されました著書の章を要約しご自分の意見を発表し、みんなでデイスカッションする授業の形式をとっております。今回は、第11章「幼少連携カリキュラム開発へのアクション・リサーチ」(藤江康彦)を対象としました。  ここでは「アクション・リサーチ」というリサーチ方法が扱われております。 アクション・リサーチとは、教育現場を研究対象としてリサーチするだけではなく、実際に研究者がその教育現場に関わることで、その場固有の問題解決策を提案し、その方策を用いて問題解決を実際に行い、その結果を評価します。  今回の資料の中では、アクション・リサーチを用いて、幼稚園と小学校一年生の連携をはかるための幼少連携カリキュラム開発が分析されています。具体的な研究対象は、この幼少連携カリキュラムの開発に携わった人達の会議の口頭記録です。研究者本人もこの開発会議に参加しています。分析の焦点は、幼稚園と小学校の担当者達の用いている教育のねらいやカリキュラムという言葉の意味の違い、ずれです。このずれが、会議が進行するに従って変化していっていることに研究者の方は注目しています。

2012年5月28日月曜日

芸術科教育研究Aの5回目の授業がありました。

こんにちは。先週の火曜日の5限目には芸術科教育研究Aの5回目の授業がありました。この授業は院生の方がご自分の研究内容を発表し、他の受講生の方にアドバイスをお聞きすることで、今後の研究に役立てるというものです。 一学期は、まだ、具体的な研究の問題点が定まっておられない受講生の方(一年次の方など)もおられることから、リサーチクエスチョン(研究に関してどのような問いを定めるのか)を問う、あるいは問い直しながら、ご自身の研究の趣旨について発表して頂いております。  今回は、青年海外協力隊として、アフリカのガボン共和国の幼児教育にたずさわった方が、その現地での教育経験を交え、今後のガボンの幼児教育の展望を考える発表をされました。ガボンといいますと、日本ではあまりなじみのない国かもしれませんが、アフリカ中央部に位置し、フランス語を共通語とする国だそうです。  この国は、幼児教育だけでなく公的教育においても、美術教育の重要性がまだ薄い国だそうです。そのため、この受講生の方は、どうすれば美術、またはアートが、ガボンの幼児教育として重要視されるのか、考察していきたいそうです。

2012年5月23日水曜日

芸術鑑賞論A(5回目)の授業について

昨日は、芸術鑑賞論A(5回目)の授業がありました。  石崎和宏先生が作成した美術鑑賞支援ツール「アートリポーター」を用いて、受講生のみなさん一人一人が、実際に鑑賞文の作成を行いました。このツールはUSBメモリに入っており、パソコンに差し込むことで、活用することができます。最初に、鑑賞を始める前に、自分が鑑賞者として、どのようなことに関心があるか知ることができます。10の質問事項に答えていくこと、また、どの項目を自分が重視しているのか、という質問に答えていった後に、その結果がグラフ化されます。これにより自分が鑑賞行為において何を重視しているかが自覚できるわけです。  次に鑑賞文の作成です。今回はワイエス『クリステイーナの世界』という絵画作品を用いて実践されました。鑑賞文の作成は三段階を通じて行われます。作品をよく見る、作品の解釈をする、作品の判断をする、という過程をたどります。作品を良く見る段階では、作品に描かれている場面を言葉でメモする他、作品の背景に関するクイズや、アートゲーム(パズル・間違い探し)を通じて、よく見るための補助が行われます。解釈の段階になりますと、作品を見て連想したこと感じたこと、その理由を述べるため、「この作品を見て連想することは○○○です。なぜなら、○○○だからです」という文の○○へ言葉を導入してゆくことで答えてゆきます。判断の段階でも文章を作成し、最後に全文をまとめ、自分で文のタイトルを付けることで鑑賞文の作成は終了します。  来週は、受講生のみなさん各自、作成した鑑賞文を自分自身で分析して頂きます。

2012年5月22日火曜日

芸術科教育特講(5回目)の授業について

こんにちは。更新が遅くなりましたが、先週の水曜日には芸術科教育特講の第5回目の授業がありました。この授業は、質的研究と呼ばれる手法が美術科教育の研究分野にどのように活用できるのかを検討しています。  一学期は、教育分野における質的研究の有効性を検討するため、熊野正博・秋田喜代美監修『はじめての質的研究法ー教育・学習編』を基本文献とすることになりました。毎回の授業までに、担当の院生の方が決められた章の内容をレジュメにまとめてこられ、それを基に授業内でデイスカッションをするというやり方をしています。  今週は、「第三章 協調学習における理解化プロセスをどうとらえるか」を対象にしました。  協調学習とは、教師から生徒へ、知識を注入するという一方通行の授業とは異なり、生徒同士が学びあう授業形態をとったものです。生徒同士が互いに教え合い、異なる意見を交わし合うなどして様々な知識の活用法を学んでゆくことが望まれている学習形態を指します。特に、生徒の理解が協調学習により、どれくらい深まったのか、という評価の問題に対しては、従来の数値の測定に信憑性を置く量的研究だけでなく、別の研究手法も必要になってきます。それが、質的研究法です。  美術教育においては、特に知識の習得や理解の深まり、といったことが不鮮明ですので、その評価法について話し合いました。前回の授業でも触れましたが、アメリカの美術教育研究者のアイスナーは、美術教師が生徒の作品を評価する際、批評家や鑑定家のような技能が必要である、と提唱しました。生徒の理解の深まりをどう教師が評価するかについて、このアイスナーの評価の理論なども参考にして話し合われました。

2012年5月16日水曜日

芸術科教育研究(A)4回目の授業について

昨日、芸術科教育研究Aの授業がありました。  授業では、芸術支援学の院生(1学年)の方、お二人に修士学位取得のための研究論文の構想を発表して頂きました。具体的な問題点はまだ設定されていないようですが、今日は、リサーチ・クエスチョン(研究に関する問い)についてお二人が考えたものを要約してご紹介したいと思います。  以下、お二人のレジュメを参考にして、私(*和田学)がまとめてみました。 ■院生の方(お一人目)●研究テーマ/「ファッション分野におけるアートマネージメント」●リサーチ・クエスチョン/ファッションを鑑賞の対象として展示するということはどういうことなのか。ファッションとアートの関連性はどのようなものなのか。ファッション展における教育普及活動の可能性とはどのようなものなのか。 ■院生の方(お二人目)●研究テーマ/「アートプロジェクトにおける地域住民の継続的な参加を促す芸術支援」●アートプロジェクトを継続してゆくうえの問題点として、アーテイストと地域住民との見解にずれが生じるため、意思の疎通ができていない。プロジェクトの運営を継続してゆくうえでの資金確保をどのように工面すればよいのか(助成金の獲得など)。

2012年5月15日火曜日

芸術鑑賞論A(4回目)/家族による対話型鑑賞

先程、芸術鑑賞論A(4回目)の授業が終わりました。  今日は、前回の続きです。院生の方々が行ってきた課題の発表です。院生の方々がご自宅の家族を対象に、美術作品の複製画を対象にして、ざっくばらんに話す対話型鑑賞、あるいは、司会役を決めて対話による鑑賞をしました。次に、音声レコーダーに記録した対話内容を分析することで、鑑賞活動全体の大きな流れや構造を分析しました。  具体的な方法は、対話記録の中から、キーワードとなる言葉をピックアップし、一言一言を一枚一枚の付箋紙に書き込み、次に、付箋紙をグルーピング(分類)して、更に各グループ名を命名します。付箋紙を模造紙の上に貼りながら各グループごとにまとめて構成し、対話型鑑賞の流れと全体構造が解り易いよう、イラスト・説明などを記して整理します。  今日は三人の方に、その出来上がった模造紙を前にして説明して頂きました。 ■院生の方(A) ● 対象作品/小川芋銭『水魅載』●対話メンバー/夫・妻・息子(大学生)の三人 ● 対話形式/自由な対話●対話内容について/対話記録から抽出された言葉は、作品の中に何が描かれているのか、という問いへの答えが多かったように思えます。その対話記録を分類し、「中心」「絵の中で見つけて」「分析」「解釈」「流れるものは」「他には」、と命名されています。 ■院生の方(B) ● 対象作品/戸来貴規『日記』●対話メンバー/祖父・母・姉・妹(二十代)の四人●対話形式/自由な対話●対話内容について/現代美術の彫刻作品が対象のためか、作者がなぜこのような作品を作ったのかという制作意図を考えることが対話型鑑賞の目的となったようです。事件を解決する探偵の推理の行動が、対話型鑑賞の各行動に喩えられました。対話記録を分析した時のテーマは、縦軸と横軸を使った表により分類され、横軸が「証拠」「状況」「印象」「手段」「推理」「作者像」、縦軸が「立体的な視点」「平面的な視点」の二つです。この縦軸と横軸が交錯するマス目の中に、該当すると思われる言葉が記された付箋紙を貼っています。 ■院生の方(C) ● 対象作品/ミレー『オフィーリア』●対話メンバー/母・娘●対話形式/娘が母に問う一対一の形式で進められる●対話内容について/母が作品を最初に見た時点から、『オフィーリア』についての考えが発表されるなど、かなり作品テーマを掘り下げた展開となったようです。対話記録を分類し、命名したものは、「明暗から」「川の様子」「花の種子」「水面に浮かぶ花」「生をあきらめた姿」「どうして女性は水面に浮かんでいるか」「死」「生」です。 みなさん、ご家族で対話型鑑賞をされており、良い家族交流にもなったようです。  今日は、この他、授業の後半部に、石崎和宏先生から、美的発達段階についての説明がありました。この美的発達段階は、アメリカの美術鑑賞の研究者パーソンズさんが提唱したものです。この内容につきましては、次の機会にご報告したいと思います。(文責・和田学)

2012年5月10日木曜日

芸術科教育特講(4回目)の授業がありました。

水曜日には芸術科教育特講(第4回目)の授業がありました。この授業では、美術科教育研究への質的研究の方法論を導入するうえでの検討、あるいは、質的研究を院生さん自身の修士学位取得のための自己の研究のための方法論として活用することが期待された授業です。一学期は、秋田喜代美・能智正博 監修『事例から学ぶ はじめての質的研究法(教育 学習編)』(東京図書)を基本文献として講読を進め、デイスカッションを進めてゆきます。  今回の授業では、秋田喜代美さんが担当した「第一章 教育・学習研究における質的研究」(3〜20頁)を基に、デイスカッションをしました。この文献の中では、教育現場を基に質的研究を進める方への基本的な説明、質的研究がどのようなものなのか、質的研究にはどのような種類の研究方法があるのか、それらについて解り易くまとめてあります。  今回、この第一章の部分の要約を担当された院生の方がA4サイズのレジュメ一枚にまとめ、自分なりの意見を述べてもらい、そこからデイスカッションを進めることになりました。担当された院生の方は、養護学校の授業の中で行う、現代アートの共同制作を通じたコミュニケーションの可能性を研究テーマとしています。コミュニケーションといっても、言語ではなく、それ以外の表情・身体の動きなどにより養護学校の生徒さん同士が意思疎通をする様子をリサーチされるそうです。今回の文献の中には「教室でやりとりを取り扱う7つのアプローチ」(17頁)が掲載されていますが、その院生の方は、自分の研究が、そのアプローチの中の一つ、「社会的認知、状況論、活動理論のアプローチ」に主に相応するのではないかと述べられました。このアプローチは「教室での実践は個人の学習に影響を与えるよう、どのようなやりとりを行っているのか、個人の学習は教室での実践の社会的関与をどのように促すのか」と説明されております。本文にも記されておりますが、実際は、一つのアプローチに限らず、様々なアプローチを複合的に扱う、もしくは、一つのアプローチの中にも様々な種類のアプローチが存在しており、それらを柔軟に考慮していくことが必要となってくると思われます。  また、文献の中で、美術教科教育の研究分野でも著名な人物、アイスナー(Eisner)さんの提唱した教育的鑑識眼を持つことが、教育現場での質的研究の調査や評価に必要だと述べてある部分にも注目されていました。この教育的鑑識眼とは、教育現場で起こった現象を美術批評家のように記述・解釈・評価することを指します。文献の冒頭の章の中で、はやくも美術教育分野で著名なアイスナーさんの言葉が触れられており、質的研究と美術教科教育の方法論の接点が垣間見えるもので、非常に興味深いものでした。(文責・和田学)

芸術科教育研究A(3回目)がありました。

こんにちは。火曜日には、芸術科教育研究A(3回目)の授業もありました。この授業は、院生(修士課程)の方々に学位取得のための研究内容を発表して頂き、受講生のみんなで助言などを行うものです。  この日は芸術支援の方による、“アートマップ”の研究の内容が発表されました。アートマップは、直訳しますと芸術(美術)に関する地図ですが、ここでは、地域に点在する芸術作品の位置を示す他、地域住民が“アート”と定める場所や隠れた作品の位置を示す地図を意味します。実際に、このアートマップを活用し、参加者を募り、東京の大森町において町歩きが行われました。この研究をされている院生の方も、実行委員として参加されております。  以下、レジュメから研究背景と目的・方法を抜粋させて頂きます。 ○仮題「『Oomori Art Map』による住民の地域芸術文化振興に対する意識調査」 ■研究背景  近年、アートもメデイアというフィルターを介すことで、情報選択の最初の段階で、話題性・先見性のあるものが優先され、選択肢が自然と狭まってきていると考えられる。無意識のうちに取りこぼしている情報の中には、最も身近な地域芸術文化に関する情報も多く含まれていると思われる。そのような状況の中で、人々の地域芸術文化に対する意識や関心とはどのようなものなのか。両者の関係性を考察するにあたり、アートマップという媒体が一つの重要になると考えた。 ■研究目的 1 アートマップの制作を通じ、地域住民が地域のどのようなものを、どのように“アート”と定義付け取捨選択を行っているのかを調査することで、その地域に内包されている“アート”の実態を明らかにしていく。 2 アートマップが地域の芸術文化と地域住民を繋ぐ媒体としてどのように機能するのかを検証し、今後のアートマップの有効性を提示していく。 ■研究方法 1. 各種資料や文献調査から、マップの機能や意義を探る。 2. アートマップ「Oomori Art Map」制作に関わる地域住民への“アート”に対する意識調査(フィールドワーク調査・インタビュー調査)。 3. 制作したアートマップを用いた「まち歩き」の実施、及び参加者へのアンケート調査(及びインタビュー調査)。 4. 公共施設・各文化関連施設関係者への地域“アート”に対する意識調査及びアートマップ活用に関する調査(インタビュー調査) 以下略

2012年5月9日水曜日

芸術鑑賞論A(3回目)の授業について

こんにちは。  昨日、芸術鑑賞論A(3回目)の授業が終わりました。  この日は、連休中、受講生の方々が、授業外の活動として、他の方が美術作品を鑑賞した際の発話記録を録音してきて、分析・定義・グルーピング(分類)して検証し、自分なりに鑑賞の構造を図式化したものを持参されてきました。今日は、授業内で三人の方々に自分たちの作った図式について発表し、説明して頂きました。来週は、今回、発表できなかつた方に発表・解説して頂きます。  授業外で受講生の方々に行って頂いた活動は、次のようになります。先ず、自分の選んだ美術作品の図版を基に、二人程の人達に鑑賞・対話してもらい、それをボイスレコーダーで記録します。次に、そのボイスレコーダーの記録を基に、どういうキーワード(テーマ)が対話の内容に含まれているのか自分なりに、分析・解釈して、短文・単語を名付け、それを、付箋紙に一つ一つ記していきます。次に、それらの付箋紙を、更に類似するグループごとにグルーピング(分類)して、全体を整理し、図式化する段階となります。模造紙に、付箋紙を整理しながら、グループごとに貼っていき、色ペンで解説文を記すなどして、大きな図式を作り上げていきます。この際、対話の流れがどのようになっているのか、全体の対話の構造がどうなっているのか、それを考えながら、全体の大きな構造を作り出していきます。  図式といっても、学術的に堅いものではなく、誰が見ても解り易いようイラストなどで楽しく華やかに作成して頂くなど、作成のスタイルは自由でかまわないことになっております。今回は、イラストを付けるなどした非常にユニークな図式ができあがりました。例をあげますと、対話の流れを山から川、そして海に注ぎ込む水の流れに喩えて描いたもの、また、ウサギの糞食行動のように、一旦、消化したものを再度消化し直すような循環型の対話型鑑賞の流れ、をイラストで表現したものなどです。また、シンプルに対話型鑑賞の流れを図式化したものもありました。  図式、そしてプレゼンテーションによる説明などにより、解り易く説明して頂けました。