芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年5月22日火曜日

芸術科教育特講(5回目)の授業について

こんにちは。更新が遅くなりましたが、先週の水曜日には芸術科教育特講の第5回目の授業がありました。この授業は、質的研究と呼ばれる手法が美術科教育の研究分野にどのように活用できるのかを検討しています。  一学期は、教育分野における質的研究の有効性を検討するため、熊野正博・秋田喜代美監修『はじめての質的研究法ー教育・学習編』を基本文献とすることになりました。毎回の授業までに、担当の院生の方が決められた章の内容をレジュメにまとめてこられ、それを基に授業内でデイスカッションをするというやり方をしています。  今週は、「第三章 協調学習における理解化プロセスをどうとらえるか」を対象にしました。  協調学習とは、教師から生徒へ、知識を注入するという一方通行の授業とは異なり、生徒同士が学びあう授業形態をとったものです。生徒同士が互いに教え合い、異なる意見を交わし合うなどして様々な知識の活用法を学んでゆくことが望まれている学習形態を指します。特に、生徒の理解が協調学習により、どれくらい深まったのか、という評価の問題に対しては、従来の数値の測定に信憑性を置く量的研究だけでなく、別の研究手法も必要になってきます。それが、質的研究法です。  美術教育においては、特に知識の習得や理解の深まり、といったことが不鮮明ですので、その評価法について話し合いました。前回の授業でも触れましたが、アメリカの美術教育研究者のアイスナーは、美術教師が生徒の作品を評価する際、批評家や鑑定家のような技能が必要である、と提唱しました。生徒の理解の深まりをどう教師が評価するかについて、このアイスナーの評価の理論なども参考にして話し合われました。