芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年5月29日火曜日

芸術鑑賞論A(6回目)について

今日は、前回の授業の中で、アートリポーターというソフトを使い作り出した鑑賞文を基に、これを分析し、受講生のみなさん各自の鑑賞の特性を知る授業活動が行われました。石崎和宏先生が提案されました分析方法を用いております。以下、授業の中で配布されました資料を基に、鑑賞文の分析方法について簡単ではありますが、ご説明したいと思います。  大きく分けて、文章の分析と表への記入となります。分析の方法は、先ず、鑑賞文の一文に注目し、主部と述部に分けて考えます。主部を「作品要素」と見て、「主題(絵の中の題材など)」「表現性(作品に表れる感情的な意味など)」「造形要素(色・線・形などの基本的な絵を構成する要素)」「スタイル(広い意味での作家の独特な作風)」の四つの中から該当するものを選択します。述部を「鑑賞行為」とみて、「連想(個人的な思いつきや考え)」「観察(絵の外観について客観的に説明する行為)」「感想(直感的に感じ取る行為)」「分析(画面に現われているものを要素に分解し、関連性を明らかにする行為)」「解釈(作品に対する理解に基づいて作品の意味について述べる行為)」「判断(作品に対する個人の反応や価値観を示す行為)の6つの中から該当すると思われるものを選択します。必ずしも、一つの属性に分析しなければならないわけではなく、二つの属性を持った複合型の分類も可能です。例えば、「連想・観察」、「観察・分析」などです。  次に方眼状となりました図への記入にうつります。「作品要素」の4つを縦軸とし、「鑑賞行為」の6つを横軸とした方眼状の図がありますので、そこに主部(縦軸)の「作品要素」の分類名と、述部(横軸)の「鑑賞行為」の分類名が交差する升目に記しをつけます。例えば、縦軸が「表現性」で、横軸が「連想」ですと、その二つが交差する升目に記しを付けます。一文、一文、こうした分析方法を繰り返し、しだいに升目がうまってきますが、個人差があり、特に集中して埋まる升目があれば、その人の鑑賞の時に重視しているものとかんがえられます。逆にうまっていない升目や用いていない「鑑賞行為」「作品要素」がある場合、軽視していますので、鑑賞の際、気を付けた方がよい特性を表わしています。こうした分析は、自分自身の鑑賞行為を客観的に分析することで、今後の美術鑑賞の改善に関する手掛かりとして役立つことになります。(文責・和田学)