芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年2月16日木曜日

こんにちは。
 昨日、水曜日午後6時から8時半まで教育研究科(大学院修士課程)の中で、退官される先生や修了される学生さんのためのお別れ会がありました。芸術科教育コースからは、お一人の方が修了されました。現代アートの学校教育における意義を研究されてきた方です。理論面だけでなく美術館での実践面を視野に入れ、初等教育を対象にした研究を続けてこられました。修士論文も、非常に充実した内容となりました。一見、多くの方が取りかかっているような研究テーマに見えて、実は、あまり扱われたことがないテーマです。貴重なテーマを持った方ですので、修了後の今後のご活躍が楽しみです。

 さて、火曜日の芸術科教育研究Bでは、受講生のみなさんが修士論文のための構想発表をし、他の受講生の方の意見を取り入れながら、各自の研究内容の深化を進めてきました。今週は、お二人の院生の方の発表がありましたが、今日はそのうちのお一人の発表をご紹介したいと思います。来週にも、芸術科教育コースでは、修士論文の構想や論文構成に関する中間発表会がありますので、レジュメの内容もかなり具体的なものとなってきたようです。以下にその一部を掲載します。

(仮題)「開発途上国における美術教育開発はどうあるべきか
—モルデイブ共和国での実践を事例としたモデル構築のための考察—」

研究の背景と目的
(1)目的
 1.開発途上国における美術教育開発の実態を明らかにし、その背景要因について考察する。
 2.自身のアクションリサーチとしての実践を、内発的発展論の視点から分析し、美術教育開発モデルを構築する。
(2)背景
途上国の教育開発において、識字教育や理数科教育などと比較すると、美術教育の分野はこれまで積極的な議論がなされないできた。確かに、今まさに貧困に喘いでいる国にとって、美術教育は優先すべき事項ではないのかもしれない。しかしそれは、美術教育は俗福な国しか享受することが出来ないという、皮肉な現実を暗示するものである。
 本研究では、美術教育も開発途上国の子どもたちの健やかな成長に必要不可欠なものであると捉え、かつ途上国という特色を考慮した上で、その発展を目指すにはどのような視点が必要であるのかを考えたい。

*ここからは私(和田)の文です。
 この方は実際にNGOの活動の一貫として、モルデイブの現地で、図画工作教育を教えてきた経験があります。その実体験を生かしながら、開発途上国における美術教育の在り方について、この研究を通し、模索されていくそうです。非常に、希少価値のある研究テーマですので、今後の展開が楽しみです。