芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年1月27日金曜日

筑波大学付属図書館・特別支援教育における現代アートを用いた共同制作の可能性について

こんにちは。今日は筑波大学図書館と芸術科教育コース在籍中の院生の方の研究内容についてご紹介したいと思います。(文責・和田学)

 先ず、筑波大学図書館について

 私(和田)が大学院生として、筑波大学に入学した際、一番、驚いた施設が付属図書館でした。中央図書館という最も大きな施設がある他、体育と芸術の書物を専門に扱う体芸図書館という施設もあり、その二つの蔵書量が非常に多いです。他に医学書を扱う医系の図書館もあります。書物数が多いだけでなく、貴重な書物が当たり前のように平然と開架に置かれ、誰でも貸し出し複写できます。本当に驚きました。もちろん学外の方であっても簡単な手続きをすませて頂ければ、誰でも利用は可能です。本に興味がない人であっても、これだけ多くの書物と本棚が並ぶ様子を見ると、異空間に来たような印象を受けます。とても、おもしろいですよ。

 しかも、図書館内にスターバックスがあり、休憩がてら誰でもコーヒーが飲めます。お金は必要ですが(笑)。なかなか国立大学系の図書館内にスタバはないですよ。もちろん、普通のスタバです。

 特に、私が個人的におすすめの場所が、“中央図書館の地下閉架”です。通常、図書館の閉架といいますと、立ち入り禁止の場所となり司書の方に頼んで指定した書物を持ってきて頂くことになります。貴重な古い本が置かれているわけですから、自由に触れることができないわけです。ですが、筑波大学は階段を降りれば、何の手続きもなく、誰でも閉架の迷路のような本棚の並びに入り込むことができます。貴重な古書を実際に手に取り、自由に閲覧・複写できるわけです。それだけではありません。閉架には“中二階”という、図書館にしては珍しい建築様式があります。なんと、地下一階の中に、階段で昇る“広い二階”が設けられ、そこにも膨大な数の戦前戦中の古書が置かれています。更に、中二階の中程には施錠された閉架が設けられており、受付で鍵を借りると中に入り戦前戦中の古い書物類を閲覧することができます。その中二階の鍵のシステムは非常に面白く、鍵を開け、外から開けて中に入り扉を閉めると自動的に鍵が締まり、中からは開けられますが、一旦外に出ると鍵がない限り中には入れません。ちょっと、推理小説の密室の雰囲気を味わえるような所です。
 実は、中央図書館には更に、別の場所にいくつか閉架があり、本来、スタッフ以外立ち入り禁止の場所でも、手続きを踏むと、その場所に入ることができます。探してみるのも面白いかもしれません。

 本に興味のない方でも、ぜひ一度、お越し下さい。他で経験できないような空間が味わえますよ。

 さて、芸術科教育コースの院生の方の研究テーマのご紹介です。

●(仮題)「現代アートの要素を含んだ共同制作による生徒間のコミュニケーションの可能性〜特別支援学校での授業実施から〜」

 この院生の方は実際に特別支援学校に勤務する経験を持ち、その経験を基に、特別支援対象の生徒さんへの美術教育の可能性を探るため本学に入学されました。特に、絵を描いたり、粘土を練ったりすることは一人で行うことが多いですが、この研究では集団で共同制作することが重視されています。なぜ、集団で制作する必要があるのかと言いますと、生徒さん同士のコミュニケーションを促すことができるのではないか、という想定があるからです。確かに特別支援の生徒さん達は、コミュニケーション、つまり、自分の気持ちを表現し相手に伝えること、または受け取ることが得意ではないかもしれません。そこで、共同で美術作品を制作することで、必要となってくるコミュニケーション活動を促すわけです。確かに、絵画・彫刻・デザインなどのように技能の熟達を重視した教材よりも、作者の考え方や思いを伝達する現代アートの方が、比較的、教材として導入しやすい、扱いやすいものといえます。
 この研究内容も、今後、おって紹介したいと思います。

 今週も多くの方にブログに来て頂きました。ありがとうございます。また、来週もよろしくお願いします。