芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年6月5日火曜日

芸術科教育研究A(6回目)について

先週、火曜日に芸術科教育研究Aの授業がありました。今回、発表された研究内容はお二人から二本です。以下、お二人のレジュメから研究の背景、研究の目的などを抜粋させて頂きたいと思います。 ●(仮題)「『Oomori Art Map』による住民の地域芸術文化振興に対する意識調査」 研究背景/近年、様々な話題性・先見性に富む“アート”の情報があるなか、最も身近な地域芸術文化を意識する機会は少ない。そのような状況の中で、人々の地域芸術文化に対する意識や関心とはどのようなものなのか。両者の関係性を考察するにあたり、アートマップという媒体が一つの重要な核になると考えた。 研究目的/1アートマップの制作を通じ、地域住民が地域のどのようなものを、どのように“アート”と定義づけ、取捨選択を行っているのかを調査することで、その地域に内包されている“アート”の実態を明らかにしていく。 2アートマップが地域の芸術文化と住民を繋ぐ媒体としてどのように機能するのかを検証し、今後のアートマップの有効性を提示していく。 研究の意義/1アートマップの制作過程を追うことで、成果物を分析するだけでは得ることのできない、住民の地域芸術文化に対する意識の変化を明らかにすることができる。 2住民の意識をアートマップという媒体に落とし込むことで、第三者がその地域の芸術文化、又はその場所を選定した住民の意識を理解することができる、また、マップにすることで地域芸術文化に関する情報の蓄積になる。 ●(仮題)「知的障害児のコミュニケーションを促す美術科授業に関する研究—遊び的要素を取り入れた授業の構想と実践—」 研究の目的/本研究の第一目的は、知的障害児を対象とした美術科授業で生徒間のコミュニケーションを促すための美術科授業を開発し、実際にコミュニケーションが促されたかを明らかにすることである。授業でのコミュニケーションを判断するために、先行研究や参考資料を基にコミュニケーション分析シートを開発する。本研究の第二の目的は、アートに見られるコミュニケーションを検討し、その意義を明らかにすることである。本研究で実施する授業では、コミュニケーションを促すために「遊び」の要素を取り入れる。この「遊び」の要素は、近年見られる現代アート作品やワークショップ作品でコミュニケーションを促す要素である。つまり、「遊び」の要素を取り入れた美術科授業の実践は、制作過程において、知的障害児の生徒が子ども同士で関わり合い、学び合う具体的な仮説をコミュニケーションという観点により検証するものである。 研究要素/知的障害児における美術科授業は、他教科や他領域と比べて先行研究が少ない。また、知的障害児における美術科授業での共同的な学びに関する先行研究が見当たらなかった。また、知的障害児における美術科授業は、生徒の発達段階が各々異なることやテイームテイーチングという指導の特性から個々の指導に着目しがちであり生徒間のコミュニケーションに着目する傾向が薄い。しかしながら、特別支援学校卒業後にコミュニケーションによる問題によってトラブルが起き、彼らの生活に支障をもたらすことがある。そのため、授業でのコミュニケーションは知的障害児にとって他者を意識して関わり合うことや「学びの共同体」として生徒同士が学習を通じて主体的な学びを育成するために必要である。