芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年6月12日火曜日

芸術科教育研究A(7回目)の授業について

この授業は、院生の方達が研究内容を発表し、それについてデイスカッションをすることで今後の研究の指針とするものです。  今回はお一人の方が発表されました。以下、配布されましたレジュメを基に、私(*和田)が一部をご説明したいと思います。 (仮題)「途上国における美術教育開発はどうあるべきかーモルデイブ共和国における教育実践を事例とした考察ー」  この院生の方は、青年海外協力隊の一員として、実際にモルデイブ共和国に小学校教員として勤務されました。その経験を基に、同国の図画工作•美術教育がどうあるべきか、今後の指針を検討してゆく研究です。今回は、なぜモルデイブが美術教育を軽視しているのか、という要因の背景について社会的・文化的なものから述べられました。この国では、特に理数教科が重視されています。その理由は、経済発展に直接つながるという見込みがあると考えられているからだそうです。美術教育が軽視されている要因の一つに、その経済発展に結びつかない、ということが先ず考えられるそうです。次に、美術教育は、明確な成果が見えずらいことが挙げられております。更に、美術教育は多くの材料・道具が必要ですが、その資源に乏しいことがあげられます。以上が社会的要因と考えられるものです。また、戦前・戦後の日本もそうなのですが、美術教育は元来、欧米諸国から導入されながら、自国の中で試行錯誤を重ね、発展していくことが多いです。ですが、モルデイブでは、文化的価値観が独特のため、諸外国の教育者の理解・介入が難しい、という文化的要因が考えられます。また、無理に諸外国が同国に介入すると、モルデイブ本来の文化を消滅・変化させてしまう危険性もあるため、諸外国の教育関係者の方達の積極的な介入を妨げているのではないかと、指摘されています。