芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年4月24日火曜日

芸術科教育研究A(二回目)について

先程、5限目(15:15〜16:30)に芸術科教育研究A(二回目)がありました。  この授業は、教育学研究科芸術科教育コースと芸術支援領域の院生の方々が毎回の授業で二人ずつ修士論文の研究内容を発表し、みなさんから意見をうかがうことで、今後の各自の研究の精錬のための参考とする、という内容の授業です。  今日は芸術科教育コースの二年の院生の方お二人に発表して頂きました。個人研究の内容ですので、私(和田)の視点から記す事は相応しくないと思いますので、以下、授業内で配布されました院生の方々のレジュメから研究内容の目的と背景を抜粋しました。題目は仮題です。 ●「開発途上国における美術教育開発はどうあるべきか―モルデイブ共和国での実践を事例としてモデル構築のための一考察—」(仮題) ○研究の目的/(1)開発途上国における美術教育開発の実態を明らかにし、その背景要因について考察する。(2)自身のアクションリサーチとしての実践を、内発的発展論の視点から分析し、美術教育開発モデルを構築する。 ○研究の背景/途上国の教育開発において、識字教育や理数科教育などと比較すると、美術教育の分野はこれまで積極的な議論がなされないできた。教育開発とは、途上国の教育の整備・発展を目指す活動を指すが、そもそも各々の文化の影響を直接受ける「美術」「美術教育」には、その「発展」を認め得る世界共通の明確な価値基準が存在しない。故に、支援する側(多くは先進国)の美術的価値観を拠り所としてしまいがちであり、ともすればそれは、途上国に対する一方的な価値観の押し付けともなりかねない。従って、途上国の文化を尊重することともにその特質を活かしながらも、独自の発展を目指すための視点を考えることが必要なのである。 ● 「現代アートの遊び的要素を含んだ共同的学びによる一考察〜知的障害児を対象とするコミュニケーションを重視した美術科授業の実践分析から〜」(仮題) ○ 研究の目的/(1)現代アートの要素と知的障害児における美術教育との関係性を、コミュニケーションの視点との視点により明らかにする。(2)知的障害児におけるコミュケーション構造から美術科授業におけるコミュニケーション分析シートを作成、及び授業実践を行い、授業の効果と課題を考察する。 ○研究の背景/知的障害児における美術科授業は、生徒の発達段階が各々異なることやテイームテイーチングという指導体制の特性から、個々の指導に着目しがちであり、生徒間のコミュニケーションに着目する傾向が薄い。しかしながら、特別支援学校卒業後に障害者間でコミュニケーションによるトラブルが起き、生活に支障をもたらす場合が見られる。  また、近年ではコミュニケーションを促す現代アート作品が見られ、美術館などの施設ではワークショップによるコミュニケーション活動が行われている。しかしながら、知的障害児が美術館などの施設に頻繁に行くことは難しいため、美術科授業において現代アートにおけるコミュニケーションに着目した授業実践を分析し、考察し、知的障害児における美術教育の在り方を探索的に検討する。  おおよその章立てはできましたが、今後、具体的な調査・執筆などが行われるそうです。また、随時、ご報告していきたいと思います。(文責・和田学)