芸術科教育コースによるブログです。授業内容や学校生活の様子などを更新していきます。

2012年11月22日木曜日

芸術科教育特講(水曜3限目)の2学期の授業が終わりました。

芸術科教育特講(水曜3限目)の2学期の授業が終わりました。前回のこの授業の内容を更新して以降、4回の授業が行われました。受講生である院生の方が選んだ論文を基に、デイスカッションが行われました。以下、その4つの論文の簡単な要約と院生の方から出された意見について記します。ネットでも全文が閲覧できますので、興味のある方は論文名を基にアクセスしてみてください。 ●坂倉杏介「『とまどい』の解消とクラスの成長—ワークショップ型」の授業に関する一考察:2008年度『芸術の現在』を事例にー」『慶應義塾大学日吉紀要. 人文科学』第25号,2010年p,325- 362.大学の授業で実際に行った継続的なワークショップの実践報告と考察です。ワークショップを行う際、参加者が対話の中で生じる「とまどい」を解消するよう提案されています。この参加者の「とまどい」とは、他の参加者とのコミュニケーションをする際の暗黙のルールを知らないため、対話の展開が予測できないため起こるものであると説明されています。 ●池内慈朗「レッジョエミリアとハーバード・プロジェクト・ゼロによるコラボレーション Making Learning Visible—幼児教育から学ぶドキュメンテーションによる学習過程の可視化—」『美術科教育学会』第31号,2010年,p.43-54.レッジョエミリアとハーバード大学で行われたプロジェクトには、中心人物の間に学術的交流があり、互いに影響関係があったとされ考察されております。院生の方の今後の自分の研究に向けた課題点としては、“なぜ、今の日本にレッジョエミリアのアプローチが必要とされているのか。”“日本の幼児教育には何が必要なのか。「地域にとけ込む学校」として、今後、どのような課題があるのか。”などがあげられております。 ●奥村高明「状況的実践としての鑑賞-美術館における子どもの鑑賞活動の分析」『美術教育学』第21号,2005年,pp.151-163頁. 美術館における子ども達の鑑賞の状況を観察することで、鑑賞学習への理論的枠組みを再検討していくものです。この論文の中では、子ども達が絵画作品を鑑賞して移動する際、立ち止まってくる、動きへの「よどみ」や、美術館側が鑑賞を手助けするために独自に設置している「しかけ」について影響が考察されております。 ●岡山万里・高橋敏之「大原美術館における『お話作り』による幼児のための絵画鑑賞プログラム」『美術教育学』第31号,2010年,151-161頁。大原美術館が1993年から行っている幼児対象の絵画鑑賞プログラム「お話作り」についての14年間の実施記録を基にした考察を行っています。院生の方の今後の自分の研究に向けた課題点としては、幼児にとっての「深い鑑賞」とは?何なのか。レッジョ・エミリアの視点でこれをやってみるとどうなるのか?などがあげられておりました。